CORS26遺伝子の機能を解析するために、同遺伝子を未分化間葉系細胞C3H10T1/2に導入し影響を検討した。CORS26遺伝子はC3H10T1/2細胞の増殖を促進した。また、コンフルエント時における細胞密度を増加させることが明らかになった。そこで、マウスを用いて四肢および下顎の発育に重要な成長板軟骨でのCORS26遺伝子の発現を調べたところ、増殖層の軟骨にのみ強く発現が見られた。 続いてヒト腎臓由来cDNAライブラリーよりヒトCORS26遺伝子を単離した。同遺伝子の全長は1730bpで、マウスCORS26遺伝子と同様に246アミノ酸からなる分泌タンパクをコードしていた。ヒトとマウスのアミノ酸配列は96%の相同性を示した。次に、Radiation Hybrid Mapping法を用いた解析により、ヒトCORS26遺伝子は第5染色体の短腕(5p13.1-13.2)に位置することが明らかになった(これらの結果はGenBankに番号AF326976で登録した)。その結果、同遺伝子と5p-症候群(cri du chat症候群)との関連が考えられた。同症候群は精神遅滞と発育遅延を主な臨床症状とするが、発育遅延については低身長、小下顎症などのいわゆる骨格低形成を示す。したがって、CORS26遺伝子の異常が成長板軟骨の正常な増殖を阻害し、同症候群における骨格低形成に関わっている可能性が強く示唆された。
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