昨年度の研究では、脂質の代謝異常と唾液腺機能障害との関連を調べる目的で、高脂血症における唾液腺の病態を画像診断学的手法ならびに血清学的手法を用いて解析し、その結果を報告した。 本年度はその結果を踏まえ、血中の総コレステロール値やトリグリセライド値と口腔乾燥症状との相関について検討を行った。 (方法) 口腔乾燥症状を有する高脂血症患者24名の血中総コレステロール値、トリグリセライド値と耳下腺の腫脹(MRIにおける最大断面積で評価)ならびに唾液分泌量の低下(サクソンテスト≦2.75g/2min)との関連を比較検討した。 (結果) (1)高脂血症患者24名中、血中トリグリセライド値が基準値(≧150mg/dL)を越えていた9名ならびにトリグリセライド値、総コレステロール値ともに基準値を越えていた5名、合計14名全てに耳下腺の腫脹が認められた。 (2)また血中総コレステロール値が基準値(≧220mg/dL)を越えていた10名ならびに総コレステロール値、トリグリセライド値ともに基準値を越えていた5名、合計15名全てに唾液分泌量の低下が認められた。 (結論) 以上の結果より、高脂血症患者においては血中のトリグリセライド値は唾液腺腫脹と、総コレステロール値は唾液腺機能障害と大きな関連があることが示唆された。
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