位相限定相関法を応用した口内法エックス線画像の自動差分抽出ソフトウェアを開発した。本年度は、一般臨床応用に際して障害となる点についての改良を目的とした研究を行った。 1.新しい規格撮影装置の開発 上顎歯列撮影時、手指による固定や従来のインジケータでは、フィルム(イメージングプレート)が歪むために撮影回ごとの再現性が低下し、これが位置あわせを困難にする原因となっていた。本研究において、従来の装置を改良し、歯軸に対するフイルム支持部、およびコーン指示部の角度が変化する汎用規格撮影装置を試作した。コーン指示部の角度もこれにあわせて変化するため等長性が確保され、全歯牙にわたって再現性の高い撮影が可能となった。現在、ボランティアによる検証実験を施行中である。 2.像の歪みを補正する機構の開発 従来の方式では、フイルムのゆがみを想定した同一画像上の局所的な拡大・縮小に対しては正常な位置あわせを行うことができなかった。これに対し、同一画像上の複数の参照領域の拡大率の検出と補正を行う機構を開発中である。前段階として、位置補正のための参照領域を複数点取ることが可能なようにソフトウェアの改良を行った。現在、複数点間の拡大率の差から必要な補正が行えるよう、ソフトウェアの改良中である。 3.CCD方式デジタルエックス線装置への対応 CCD方式デジタルエックス線撮影装置は、素子間の感度、および散乱線防止の機構が影響して、正常な位置あわせを行うことができない。素子間の感度差および散乱線防止の機構による陰影をあらかじめ差分して、位置あわせを行うことを試みたが現時点では良好な成績を得られていない。引き続き、次年度に本件の改善を試みる予定である。
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