研究概要 |
今日までに私達は,歯髄創傷治癒における歯髄細胞の分化・機能発現にc-jun・jun-Bが重要な役割を果たしていることを示唆してきた(1999, J.Dent.Res., 78, 673-680).一方,歯髄創傷治癒における細胞死制御機構に,アポトーシス誘導が関与していることを明らかにした(2001, J.Dent.Res., 80, 1530-1534).さらに,歯髄アポトーシス誘導およびその後の歯髄における修復機構にJNK, c-Jun,およびHSP70が関与していることを明らかにした(2003, J.Dent.Res., 82, 91-95).これらの結果をもとに,窩洞のサイズや充填した各種覆髄材料が歯髄創傷治癒過程に与える影響をアポトーシスをマーカーとして検討したところ,1.窩洞サイズを変えることで創傷治癒過程に生じるアポトーシスの出現量が変化すること,また,2.覆髄材料の種類によって,アポトーシス細胞の量やその分布が異なることを明らかにした(2003, Operative Dentistry 28, 75-79; 2003, J.Endod., 29, 41-43).現在,歯髄アポトーシス誘導メカニズムを明らかにするため,培養歯髄細胞を用いてヒートストレスによるアポトーシス誘導を行い,そのメカニズムを解明するとともに,これらの結果を歯髄再生療法へ応用する試みをしている.
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