根尖性歯周炎の発症および進展における内分泌ホルモン(カルシトニンおよび副甲状腺ホルモン)の影響について、7週齢で副甲状腺あるいは甲状腺を摘出したラットを用いた実験群と摘出を行わない正常ラットで比較検討した。副甲状腺を摘出したラットには副甲状腺ホルモン、甲状腺を摘出したラットにはカルシトニンおよび副甲状腺ホルモンを投与する補充療法を8週齢から行い、11週齢で全てのラットに実験的根尖病変を作製した。根尖病変内の浸潤細胞およびX線による骨吸収量を正常ラットと比較検討した結果、補充療法を行った実験群では破骨細胞の誘導による骨吸収を抑制させる可能性があることを示した。1、各群の体重変化は、8週齢では正常ラット群に対して全ての実験群で有意な体重減少を示し、11週齢の根尖病変作製時、病変作製後1週および3週では正常ラット群に対して甲状腺摘出群で有意な体重減少が認められた。2、骨吸収面積は、病変作製後1週および3週において正常ラット群と比較して各実験群の骨吸収面積に有意差は認められなかった。3、組織学的所見は、正常ラット群および各実験群で病変作製後1週において根尖病変内に膿瘍形成が認められ、病変作製後3週では根尖部まで歯髄壊死が認められ、炎症性細胞の増加と病変の拡大が認められた。正常ラット群と比較して各実験群においてほぼ同様の所見を示した。4、TRAP陽性細胞は、正常ラット群および各実験群で病変部辺縁の骨表層に沿って認められた。TRAP陽性細胞数は、病変作製後1週および3週において正常ラット群と比較して各実験群で有意差は認められなかった。
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