生後8週齢のウイスター系ラット20匹を用いて実験的露髄(4週)と実験的露髄(2週)および再植(2週間)を行い、根尖部歯周組織の状態を組織学的および組織形態計測学的に検索した。 組織学的所見 実験的露髄4週 根部歯髄は全体的に壊死に陥り、根管の内面には部分的に石灰化物の沈着が見られた。根尖部には膿瘍が存在し、根尖部歯根膜組織の炎症性細胞浸潤と歯槽骨の吸収が強く見られた。また、わずかな歯根の外部吸収も見られた。 実験的露髄2週および再植2週 実験的露髄4週と同様に根尖部歯槽骨に吸収が見られるが、掻爬しているため膿瘍は存在していなかった。実験的露髄4週のものよりも骨吸収像は強く、また、根尖部歯根膜組織には強度の好中球の浸潤が見られた。さらに、歯根の外部吸収も始まっていた。歯頚部には抜歯中に生じたと思われる亀裂があり同部位に好中球の浸潤が見られた。第2臼歯との間の歯冠乳頭部には食片圧入によると思われる慢性炎症が持続しており、形質細胞、リンパ球、マクロファージ等が観察され、肉芽種様の所見を呈しているものもあった。 組織形態計測学的所見 実験的露髄4週と実験的露髄2週および再植2週を比較した結果、有意な差はないものの根尖部歯槽骨吸収の面積は実験的露髄2週および再植2週の方が増加していた。 上記の結果から、実験的露髄2週および再植2週においては抜歯するという不便宜的な部分はあるものの病巣内を掻爬することができ、なおかつ実験的露髄4週に比較し根尖部歯槽骨の吸収は著しい差がないという興味ある発見が得られた。14年度はさらに抜歯窩掻爬内に抗菌剤、Ca(OH)2を貼付し、根尖部歯槽骨吸収および回復像を組織学的に観察する予定である。
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