研究概要 |
本研究は, 筋生検により筋線維組成分析が可能な部位について31P-MRSを用いてエネルギー代謝分析した後, 筋線維分析を行い, 両者の関連性を明らかにし, 顎関節症患者の主症状の一つである咀嚼筋疼痛の原因および発症機序を解明することを目的としている. 本年度は, 1. 筋線維組成分析法の一つであるATP ase染色法について, 本研究室における条件(至適pH)を確立すること, 2. データ収集を進めることを目標とした. 1に関してはpH4.25, (4.5), 4.7, 10.65の4条件で筋線維をタイプI, IM, IIA, IIB, IICの5種類に分類できることを確認した. 2に関しては咬筋肥大による審美障害を主訴とする症例に対して, 咬筋部分切除術を経験したので, その咬筋について1の条件をもとに筋線維組成分析, 筋電図検査, 31P-MRSによる咬筋エネルギー代謝分析を行い, 比較検討した. その結果咬筋肥大の原因のひとつとして考えられてきたブラキシズムのような筋の過剰運動を示唆するような所見は各分析法からは得られず, 改めて. それらの関連性を明らかにする必要性が出てきた. 更に, 研究に対する説明を十分に施し, 同意が得られた顎変形症患者を対象に同様に分析を行っているが, エネルギー代謝と筋線維組成との関連性について, タイプIMやIICのいわゆる中間型線維がどのように代謝機能に関与しているか検索していく必要性があり, 今後の研究課題となるであろう.
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