研究概要 |
平成13年度の計画は,1.二次焼結を用いた市販焼結金属の強度の測定,および2.市販焼結金属と陶材の焼付強度の測定,であった. 1.に関しては,ダンベル型板状試料を製作し,島津社製オートグラフIS500にて引張試験を行った.その結果,二次焼結応用の市販金属の引張強度は従来からの焼結金属,すなわちヘラテッククラウン,やデグジントと比べて,ヘラテッククラウンに対しては高い値を示す傾向にあったが,デグジントに対してはほぼ変わらない値を示した.また同時に金属の延び率の測定も行った.二次焼結応用の市販金属の延び率は,ヘラテッククラウンとほぼ同等の値を示し,デグジントに対しては約4倍も有意に高い値を示した.これらのことから,二次焼結応用市販金属の陶材焼付前装冠の強度が,従来からの焼結金属に対して高い値を示す傾向にあるのは,金属の強度および延びの向上が少なからず影響しているものと思われた.今後は,さらなる強度および延びの向上を目指し,金属添加の優位性を検討する予定である. 2.に関してだが,焼結金属は弾性が低く脆いため,試験に供する試料作製が非常に難しい.現在はISO9693に準じて試験を行っている.従来型のデグジントに対しては測定が終了しているが,二次焼結応用の市販金属については近々結果を出す予定である.また走査型電子顕微鏡による観察については,組織の緻密度の点で,二次焼結応用の市販金属の従来型に対する優位性を確認している.
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