各種表面形状を変化させた純チタンインプラント材料上(cpTi)でのマクロファージ(MO)細胞の細胞形態と細胞付着率について、培養24〜72時間で観察した結果、表面が滑沢なcpTi表面(S/cpTi)上に比較して表面を粗造にしたcpTi表面(R/cpTi)上では細胞突起を進展させているのが認められた。細胞付着率に関しては、培養24〜72時間ではS/cpTi表面上に比較してR/cpTi表面上では細胞付着率は有意に高い値を示した。cpTi表面上でのMO細胞からのBMP_2mRNAの遺伝子発現解析を行った結果、培養24時間ではR/cpTi表面上でのBMP_2mRNAの発現は認められたが、S/cpTi表面上では全く発現していなかった。培養72時間ではS/cpTi表面上からもBMP_2mRNAの発現は認められたが、R/cpTi表面上よりはかなり低い値で発現していた。 次に、早期のosseointegration獲得を目指してこれまでに研究してきたcpTi表面上に特殊な表面処理を施したインプラント材料(SA/cpTi)を用いて、MO細胞からのBMP_2mRNAの遺伝子発現解析を行った。SA/cpTiは、培養24時間ではコントロールよりもやや高い発現を示しており、培養72時間ではさらに高く発現していた。cpTi表面上での未分化間葉系幹細胞の細胞分化は、経日的に進んでいることがわかった。 今回得られた結果から、MO細胞からのBMP_2mRNAの遺伝子発現は、cpTiインプラント表面形状によって変化していることがわかり、さらにSA/cpTi上でもBMP_2mRNAの遺伝子発現が高まることがわかった。さらにインプラント埋入後から始まる骨の創傷治癒過程の初期に出現してくるMO細胞は、未分化間葉系幹細胞が骨原性細胞に分化していくために重要な働きをするBMPを発現していることが示された。
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