研究概要 |
目的:生体に侵襲が加わると組織損傷が起こり,炎症性サイトカインが誘起されてカスケードが活性化され,各種サイトカインやメディエーターが産生される。これらサイトカインは様々な生体反応を引き起こすことが報告されている。そこで,顎矯正手術施行時における血清中の炎症性サイトカインを計測することで各術式の手術侵襲度を調査することとした。また,過剰産生された炎症性サイトカインによる不快症状への対策としてはステロイド剤による活性抑制療法が有効であるが,本研究では顎矯正手術施行時におけるステロイドの術前・術後の投与による炎症性サイトカインの産生抑制作用と術後一般所見との関連,および合併症の発生や宿主免疫におよぼす影響を周術期を中心に検討し,顎矯正手術におけるステロイド投与の有効性を検討することとした。 方法:各種顎矯正手術-(SSRO単独群,two jaw surgery群)施行時において,術前,術直後,術後1,3,7日目に各種一般的臨床検査,および血清IL-1β,6,8,10,12の測定を行う。また同時期に,術後の一般所見として,体温,脈拍の測定を行う。なお,SSRO単独施行群においては,ステロイド非投与群,ステロイド投与1群(術前にデカドロン8mg投与),ステロイド投与2群(術前にデカドロン8mg,術直後に4mg,その後6時間後に2mg,12時間後に2mgを投与)に群別し,各種検査の比較を行う。 結果:2001年6月1日よりSSRO単独群20症例,two jaw surgery群5症例から各測定時期における検体を採取した。現在,炎症性サイトカイン測定のために採取した検体は血清を分離し凍結保存中である。
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