研究概要 |
平成13年度は移植骨膜からの骨軟骨形成細胞を免疫抑制剤FK506を用いて他種移植を行った。すなわち日本ウサギの頸骨骨膜から採取した軟骨、骨形成細胞をSDラットの筋肉内に移植しその骨形成過程の観察を行った。観察方法は組織学的観察を主体に骨梁構造の解析をMac Scopeを用いて行った。その結果、移植された細胞はレシピエント内でPCNA抗体陽性をしめしながら増殖を行い、移植後10日目にはBMP-2陽性の軟骨芽細胞に分化した。これらは、移植後14日目には軟骨を形成し21日目には骨芽細胞かららの骨形成が観察された。こうした結果から、移植された骨軟骨形成細胞は他種組織内でも細胞増殖能、軟骨、骨形成能を保持しこれらの細胞は免疫抑制剤の投与休止後も骨形成を継続しドナー側からの骨芽細胞の誘導が示唆された。この実験結果は骨膜内に存在する軟骨、骨形成細胞が移植環境下でも増殖、分化能を維持していることが明かとなり、これらの細胞は組織侵襲の少ない生体再生材料として有効であることが明らかになった。この結果をわれわれは、第55回日本口腔科学会総会(岩手)にて発表し、国際雑誌The Anatomical Record 264,Ann Plastic Surgery 48(4)にて報告した。今後の研究は平成14年度には、これらの骨芽細胞の起源をドナー側である日本ウサギからであるのか、レシピエント側であるラットからであるのかについてGFP発色マウスやMHC抗体の検索などから解明し骨軟骨形成の移植材料としての検討を加えていく。さらにこれらの移植細胞がin vivoのみでなくin vitroの中で培養増殖された後にもこうした増殖、分化能を保持するのか検討を加える予定である。
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