光化学治療を受け、生き残った腫瘍細胞は、その直後から6時間後にいたる間に、血管内皮細胞増殖因子を大量に放出することが明らかになった。この因子が、光化学治療への耐性の一因になっていることも考えられ、光化学治療の際、生き残る腫瘍細胞がないよう、温熱療法およびOK-432併用治療が重要になってくると考えられた。 マウス背部に移植した腫瘍へ、高出力である37.5mJ/cm2/pulseのレーザー照射を行うと、腫瘍内の温度が2分以内におよそ45度に上昇することが確認された。また、この高出力のレーザー照射により、光化学治療を行う場合、低出力レーザー照射による光化学治療よりも強い抗腫瘍効果を得ることも確認できた。一方、OK-432を腫瘍内に投与を行い、光化学治療を行う場合、光化学治療の3時間前にOK-432を投与すると高い抗腫瘍効果を得られることも明らかになった。その一方、OK-432の投与を、光化学治療の後に行った場合、抗腫瘍効果の増強は全く認められなかった。 今後、高出力レーザーによる光化学治療3時間前にOK-432を投与する治療法の抗腫瘍効果、高出力レーザー照射による光化学治療の抗腫瘍効果、低出力レーザー照射による光化学治療3時間前にOK-432を投与する治療法の抗腫瘍効果、それぞれの比較を行う予定である。
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