光化学治療(PDT)を受け、生き残った腫瘍細胞は、その直後から6時間後に至る間に血管内皮細胞増殖因子を大量に放出することが明らかになった。この因子がPDTの耐性の一因になっていることも考えられ温熱療法およびOK-432併用による腫瘍効果増強が重要と考えられた。 マウス背部に移植した腫瘍へ高出力である37.5mJ/cm2/pulseのレーザー照射を行うと、腫瘍の温度が2分以内におよそ45度に上昇することが確認された。高出力レーザーによるPDT群、高出力レーザーによるPDT3時間前にOK-432を局所投与した群、低出力によるレーザーによるPDT群、低出力によるレーザーによるPDT3時間前にOK-432を局所投与した群、高出力レーザーによる温熱療法群、OK-432局所投与群、対照群をそれぞれn-=10にて実験を行った。それぞれの群48時間後に腫瘍を摘出し、24時間10%ホルマリン固定後、パラフィン固定、4μ薄切標本を作成後、ヘマトキシリンエオジン染色を行った。その標本にて腫瘍面積に対する壊死面積の割合をコンピューターにて算出し、抗腫瘍効果の指標とした。高出力レーザーによるPDT3時間前にOK-432を局所投与した群がもっとも高い抗腫瘍効果を認め、高出力レーザーによるPDT群、低出力によるレーザーによるPDT3時間前にOK-432を局所投与した群、低出力によるレーザーによるPDT群の順に高い抗腫瘍効果を認めた。なお、高出力レーザーによる温熱療法群、OK-432群は有意な抗腫瘍効果は認められなかった。また、高出力および低出力レーザーによるPDT前にOK-432を局所投与した群は、ともに有意に高い炎症性細胞の浸潤が腫瘍内に認められた。また、n=6にて各群を行った後の腫瘍体積を計測した結果、高出力レーザーによるPDT前にOK432を投与した群において強い腫瘍増殖抑制が認められた。
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