研究概要 |
顎骨延長法はおもに骨の長軸方向への延長がなされているが,歯槽骨の延長に関しての報告は少ない.今回,歯槽骨の垂直的な延長と骨結合型インプラントを兼ねたdistraction implant (SIS社製,オーストリア)を使用し,歯槽骨の垂直的な骨延長について実験を行っている.ミニブタ(オス,体重約60kg)4匹を対象とした.右側下顎小臼歯を抜歯し,歯槽骨萎縮モデルを作成した.手術は全頭全身麻酔下で行った.歯槽頂部から5mm下方に約25mmの長さで水平骨きりを行い,φ4.0mm,長さ11mmのdistraction implantを2本埋入した.その後垂直骨きりを行い,transport segmentを形成した.Test driveを行い,延長可能であることを確認し,閉創した.7日間の待機期間をおき,0.5mm/day,10日間,total 5.0mmの延長を行った.4頭のうち3頭は過剰な咀嚼圧,手技的に稚拙等の問題のため,骨延長がうまくいかず,追加埋入を予定している.残り1頭については順調であり,X線学的,臨床的にも良好である.延長後3か月で安楽死させ,標本を作成する.標本は非脱灰研磨標本とし,トルイジンブルー染色を行い,distraction implantのcoronal part, chamber, apical partの各部分と骨延長部ついて組織学的な観察,骨接触率等について比較検討する予定である.
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