臼歯早期接触による顎関節領域での機能的変化を解明し、さらには病的状態や加齢の影響を比較するため、まずラット顎関節の生理的状態での応答特性を電気生理学的に検討した。実験に際しては、歯根膜機械受容器の研究で用いてきた、in vitro下顎-神経標本をもとに改良した、in vitro顎関節-神経標本を新たに開発した。 動物舎にて飼育された、6週から7週齢のウィスター系雄性成熟ラットを用い、in vitro顎関節-神経標本を作製した。記録部位として耳介側頭神経から微小神経電図法の手法に従いタングステン針電極を用いて単一神経線維の活動電位を細胞外誘導して記録を行った。特に顎関節領域の機械受容器の方向特性について比較検討を行った。 ラット下顎骨を吻側・尾側・腹側・背側の4方向に偏位させた場合の、顎関節機械受容器の方向特異性は見られなかった。次に恒常的に顎位を偏位させるための装置や偏位させる場合の顎関節領域の機械受容器の応答特性の変化について検討を加えた。まず、ダイナミックかつ持続的な変化に対する反応を見るために、後方への偏位を想定しTi-Niコイルスプリングを用いたヘッドギアーを作製した。ラットがこの装置を装着した状態で、どの様な変化が顎関節の機械受容器に生じるか検討を開始した。同時にラット臼歯にレジンを盛り、人為的な臼歯早期接触を作り出し、切歯を削合し続け開咬状態を維持したモデルを作製し、経時的に咬合の変化を観察を開始している。
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