研究概要 |
歯周病原性菌Porphyromonas gingivalis のリジン特異的システインプロテアーゼ(KGP)は,プロテアーゼとしての機能とヘモグロビン結合タンパクとしての機能を併せ持ち,本菌の増殖および病原性発揮に重要な役割を果たしていると考えられる.本研究では,KGPのプロテアーゼドメインと,P.gingivalisのもう一つの主要なプロテアーゼであるアルギニン特異的システインプロテアーゼ(RGP)のプロテアーゼドメインを標的とした2種類のDNAワクチンを同時に作製し,これらのDNAワクチンの抗原性とP.gingivalis感染に対する防御効果をマウスモデルを用いて比較検討することを目的として,まず2種類のDNAワクチンpSecTag2A/kgpcdおよびpSecTag2B/rgpcdを構築した.In VitroにおいてこれらのDNAワクチンを哺乳動物細胞NIH-3T3に遺伝子導入したところ,それぞれの標的遺伝子に特異的なmRNAの発現がRT-PCR法によって確認された.次に,BALB/cマウス後肢にそれぞれのDNAワクチンを週1回連続4週筋肉内注射し,7日おきに採血して血清中の抗原特異抗体価をELISA法により調べた.その結果,KGP特異抗体価はDNAワクチン初回接種日より3週目でほぼプラトーに達したが,RGP特異抗体価は4週目でKGPのそれの70%の上昇しか示さなかった.このことから,kgpDNAワクチン(pSecTag2A/kgpcd)は、rgpDNAワクチン(pSecTag2B/rgpcd)よりも高い免疫原性を有し,P.gingivalis感染防御に有効である可能性が示唆された.
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