研究概要 |
咀嚼発達の観点から乳児がどのようにして吸啜から咀嚼へと開始し、成長発達によりそれがどのように変化するかについての検討が重要であると考えられる。 そこで本研究は、乳児期の哺乳形態の違いによる幼児の顎の成長や口腔の機能についての影響を検討する目的で行っている。 被検児は、健康状態が良好で顎口腔系においても機能的に異常の認められない、3,4,5歳児を対象として行う。 観察を行うにあたり、事前に母親に研究の趣旨を説明し、出生後の授乳方法および離乳食の進行、さらに現在の食事態度についても食事時間、好き嫌い、食べ方などについてアンケートをとっている。 被験児は、口腔機能への影響の観察として、デンタルプレスケール(富士写真フイルム社製)を用いて座位にて咬合力の測定を行い、オクルーザ(富士写真フイルム社製)で咬合力を計測する。そして各データをマイクロコンピュータ(Apple社製 Power Macintosh G4)に取り込み、各データを表計算ソフトのデータベース(Microsoft社製,Excel)に移し解析する。 また歯列形態への影響の観察として、座位にて上下顎印象を採り、スタディモデルを作製する。そのスタディモデルから不正咬合の観察、overbite・overjet・terminal planeおよび上下顎の乳犬歯間幅径・第二乳臼歯近心頬側咬頭頂間をデジタルノギスにて計測する。 さらに筋活動の測定を行なうことができる被験児を対象として、咀嚼運動時の筋活動の計測を行なう。測定はシールドルーム内普段と同様の姿勢で咀嚼を行わせ、その時の片側の側頭筋(TM)、咬筋(MM)、口輪筋(OM)、および舌骨上筋群(SM)の4筋より、咀嚼運動時の口腔周囲筋筋活動を導出する。解析には、咀嚼開始時での比較的安定して咀嚼リズムの出現する連続した10波形を対象とする。各筋電図原波形のデータをマイクロコンピュータ上でMac Tab 8s(AD Instruments社製)にて積分値を得る。そして表計算ソフトのデータベースに移し検討を行なっている。
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