残存歯根膜を組織培養する期間が、歯の移植後の治癒に与える影響を検索する目的で、摘出した歯から歯根膜が付着した試験片を準備し、2もしくは4週間の組織培養をおこなった後、下顎骨に作成した窩洞に移植し歯肉骨膜弁で覆った。対照として歯根膜を完全に除去した試験片を作成して同様に移植を行った。移植後の観察期間を4週とし、病理組織学的観察を行った。その結果、歯根膜を除去したものは根吸収と骨性癒着が常に観察されたのに対し、歯根膜が付着したものは根吸収と骨性癒着がほとんど観察されなかった。さらに培養期間4週のものは培養期間2週の場合より歯根膜様組織が減少し、移植片表面に平行に走行する線維が多く見られる傾向があった。このことより、培養期間が長期になると残存歯根膜部では移植後、歯根膜様組織が減少することが示唆された。 BMPと根面との距離が歯周組織の再生、特に付着様式にどのように影響するかについて検索を行う目的で、イヌの小臼歯に深さ4mmの水平性骨欠損を作成した後直ちに実験的歯周炎を起こした。8週後、ルートプレーニングした根面にBMP配合PGSを直接触れるように埋稙あるいはスペーサーを介在させてBMP配合PGSを埋稙し、12週後に病理組織学的観察を行った。その結果、BMPを埋稙することによってルートプレーニング面に広範囲にセメント質様組織の形成と上皮のdown growthの抑制が認められ、根吸収および骨性癒着はほとんど見られなかった。さらにこの効果は、スペーサーの有無に関わらずに観察された。これらのことよりBMPによって結合組織性付着をともなう歯周組織の再生が促進する可能性が示唆されたとともに、BMPと根面との距離は、その再生についてあまり厳密な影響を与えることはないと考えられた。
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