歯周病罹患歯を口腔から摘出し、(1)in vitroで根面に付着した残存歯根膜を組織培養することよって、歯根全面を培養歯根膜細胞が付着した歯とする。(2)口腔内の高度に吸収した歯槽骨を培養期間中に骨形成因子であるBMPにより再生させた部位に、その歯を再値することによって歯周組織の再生を狙う新しい治療法を考案して、その開発に向けて研究を行っている。 (実験1) 目的:組織培養により歯根全面を培養歯根膜細胞が付着した歯の移植後の治癒を検討する。 方法:成ビーグル犬4頭の前歯25歯を用いた。前歯を摘出後、CEJから幅4mmの根面を全周にわたりルートプレーニングして、根尖側の残存歯根膜はそのままにしたものを被験歯として準備した。実験群(N=14)は培地中で6週間培養を行った後、口腔内へ自家移植を行った。対照群(N=11)は被験歯の調整後、直ちに自家移植を行った。観察期間は移植後4週とし、病理組織学的観察を行った。 結果:ルートプレーニングされた根面では、残存歯根膜から培養増殖した細胞によって、移植後の歯肉上皮のdown growthが阻止され、結合組織による付着が増加する可能性が示唆された。しかし、セメント質形成の促進、根吸収と骨性癒着の防止への影響については明らかではなかった。残存歯根膜部は、両群とも付着には差はなかったが、実験群は歯根膜中の細胞配列が一部疎な部分が存在した。このことより、歯根膜の細胞外器質も歯根膜形成に重要な役割を持つのではないかと考えた。 (実験2) 目的:BMPの移植による骨形成および、歯根膜細胞への影響が、部位特異性があるか検索する 方法:ビーグル犬の上下顎小臼歯に深さ4mmの水平性骨欠損を作成後、ルートプレーニングした根面にBMP配合PGSを埋稙し、12週後に病理組織学的観察および計測を行った 結果:BMPによる骨形成量、結合組織性付着量は、上下顎という部位による違いはなかった。
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