研究概要 |
Actinobacillus actinomycetemcommians (A.a)におけるOmpAファミリー外膜蛋白は,Opm34と名づけられ,EOP患者の血清IgG抗体によって高頻度に認識される。本研究課題はEOP患者の疾患感受性を規定する抗原分子をアミノ酸レベルで同定することを目的に,1)Omp34を認識するEOP患者末梢血由来ヘルパーT細胞株を樹立し,2)そのT細胞株のOmp34上におけるT細胞認識部位を各個体間で比較し,患者に共通するT細胞エピトープを同定することによって,歯周病に対する診断および免疫療法の基礎を築くこととした。本年度は,1)Omp34の全アミノ酸配列を網羅するオーバーラップペプチドを作成すること,2)A.aに対して高いIgG血清抗体価を示す被験者となるEOP患者の選定を行なうこと,および3)Omp34を特異的に認識するT細胞株をEOP患者から樹立することを行なった。その結果,以下の成果を得た。1)Omp34は325残基のアミノ酸から構成されているため,32種類の15〜21アミノ酸からなり10〜11残基オーバーラップするペプチドを設計した。ペプチドは,F-moc法で合成した後,逆相高速液体クロマトグラフィーによって精製し,マス・スペクトロメトリーを用いることによって,その精度を確認した。2)A.aに対して高いIgG血清抗体価を示す被験者となるEOP患者1名を選定した。同被験者のHLA-II alleleは,DRB1^*0101-DQB1^*0501/DRB1^*1302-DQB1^*0604であった。3)同被験者の末梢血単核球から,Omp34を特異的に認識するT細胞株を樹立することができた。 以上,本年度の成果を踏まえ,次年度は1)被験者数を増やすこと,および2)T細胞株のOmp34上におけるT細胞認識部位を同定することを行なうことを計画している。
|