日本人における早期発症型歯周炎患者および成人性歯周炎患者と健常者とのSNPsの比較により、多因子性疾患である歯周炎の発症および進行に関与する危険因子を遺伝子構造から検索することを目的とした。 歯周炎を主訴とする早期発症型歯周炎患者12名および成人性歯周炎患者9名を対象とし、歯周炎の臨床所見がないもの19名をコントロールとした。末梢血より、ゲノムDNAを抽出し、JSNPデータベースより、連鎖不平衡を考慮し、インターロイキン1(IL1)、腫瘍壊死因子α(TNFα)等の歯周炎原因候補遺伝子の一塩基多型(Single Nucleotide PolymorPhisms : SNPs)計59について、TaqMan PCR法によりタイピングを行い、Fisher's Exact Testにて統計解析を行い、歯周炎との関連について検討した。研究を行うにあたり、倫理委員会の審査・承諾を得、常に、倫理的配慮のもとに研究を行った。 タイピングを行ったSNPsについてジェノタイプ頻度分布の解析を行った結果、早期発症型歯周炎患者とコントロールでは、カテプシンG(CTSG)と腫瘍壊死因子レセプター関連因子1(TRAF1)で、成人性歯周炎患者とコントロールでは、インターロイキン10レセプターβ(IL10RB)とマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP9)で統計学的有意差(P<0.05)が認められた。また、早期発症型歯周炎群と成人性歯周炎群では、インターフェロンγ(IFNG)において有意差が認められた。 SNPsはあくまでも疾患のマーカーであり、SNPsのみの解析からは、有意差が認められたものが歯周炎の原因遺伝子であると断言はできないが、早期発症型歯周炎においては、CTSGが、成人性歯周炎においては、IL10RBとMMP9が関連している可能性と、早期発症型歯周炎と成人性歯周炎においては、IFNGの関与に相違がある可能性とが推測された。
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