研究概要 |
本年度は,日本歯科大学附属病院に来院した健康な65歳以上の患者を対象として実験を行った。対象の36名のうち,歯のある者は27名で,歯の影響がない者として無歯顎の者9名も検討に加えた。歯のある27名については,プラーク指数,歯肉炎指数,プロービングデプス,臨床的アタッチメントレベル,プロービング時の出血を調べ,健常群,中等度群,重度群に分類した。これらの群間,および臨床パラメーターと,唾液からPCR法により検出される細菌との関連を調べた。 細菌の検出率の平均は,Actinobacillus actinomycetemcomitansは8.3%,Porphyromonas gingivalisは75.0%,Prevotella intermediaは33.3%,Bacteroides forsythusは52.8%であった。この4種類の細菌のうち,Bacteroides forsythusは健常群と重度群との間で検出率に有意な差が認められた。Bacteroides forsythusの検出は,プラーク指数,臨床的アタッチメントレベル,プロービング時の出血との間で有意な関連が認められた。また,Prevotella intermediaの検出は,歯肉炎指数との間で有意な関連が認められた。よって,PCR法によって唾液から検出されるこれらの細菌によって,歯周病のスクリーニングが可能であることが示唆された。 来年度はさらに対象を増やし,敏感度,特異度がより高いスクリーニング方法の確立をめざし実験を行っていく予定である。
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