研究概要 |
近年,歯周病関連細菌であるAcinobacillus actinomyectemcomitans(以下A.a.)の宿主に対する影響が,菌体内または菌体外産物を用い研究されている.これまで我々はA.a.莢膜多糖抗原(capsular polysaccharide antigen・CPA)に着目し,CPAの破骨細胞形成能ならびに骨吸収活性について報告してきた.しかし,CPAの歯肉線維芽細胞におよぼす影響についての報告は見られない.そこで,LPSやCPAの歯肉上皮細胞や歯肉線維芽細胞に対する影響を免疫学的および分子生物学的手法を用い,歯肉線維芽細胞をCPAで刺激した場合に,炎症性サイトカインであるIL-6・IL-8に対する影響を検討した結果,LPSは炎症性サイトカインであるIL-6やIL-8の産生を亢進したのに対し,莢膜多糖はIL-6やIL-8の産生を抑制した.さらにLPSによるIL-6やIL-8産生の亢進は莢膜多糖を共存培養することにより50%以上抑制された.これらの結果はこれまでの報告と異なり,歯肉線維芽細胞の場合LPSと莢膜多糖で相反する生物学的活性を有していることを、明らかにした.
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