本申請者は、現在特許出願中の「効率よくペプチド核酸(PNA)を合成する技術」を基にして、新規なモレキュラービーコン型PNAモノマーユニットを設計・合成し、2年間で「一塩基多型を認識しうるプローブ」の開発を行う。初年度は、新規光機能性PNAモノマーの設計とその合成手法の開発を行った。 これまで本申請者が特許出願したPNA合成技術により、初めて効率よく光機能性PNAモノマーを合成できるようになった。しかし、この方法はステップ数が多いので、高価な光機能性分子を出発原料とする場合は不利であった。そこで、新たな2つのPNA合成技術を開発した。1つは、市販されている光機能性分子の活性エステル体を用いて1ステップで定量的に合成できる方法である。これにより、多種多様な光機能性PNAモノマーを設計した。もう1つは、前駆体的PNAモノマーを利用したポスト合成的な光機能性分子の導入方法である。これらの方法は、高速に目的とする光機能性PNAオリゴマーを合成できる。本申請者は、今回新たに開発したPNA合成技術を、PCT出願(2件)・特別出願(1件)することに成功した。 次に、これらのPNAモノマーを用いてモレキュラービーコン型オリゴPNAの合成を試みた。PNAオリゴマーの合成には、所有する固相有機合成装置を利用した。従来のPNA合成に関する研究において、複数個の機能性分子を同一PNAオリゴマー中に導入した例はない。光機能性分子はアルカリ条件に不安定であるが酸条件安定なものが多いという性質を利用して、目的のPNAオリゴマーを合成できた(近日中に特許申請予定)。 以上、当初予定の平13研究実施計画を遂行できた。 今後、モレキュラービーコン型オリゴPNAを最適化する予定である。平14度は、モレキュラービーコン型オリゴPNAによる新規な高速遺伝子多型解析法の開発を目指す。
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