研究概要 |
(1)1,3-DialKyl-2,3-dihydr-2-imino-1H-imidazole(イミノイミダゾリン)類の新しい合成法の開発に成功した。すなわち、興味ある生理活性化合物の構成成分として知られているにも拘らず、これまでに効果的な合成法の報告例の少なかったイミノイミダゾリン類の一般性が高く、かつ高効率的な合成法を見出した。その方法は1,2-ジ置換イミダゾールを用い、その四級塩化合物(イミダゾリウム塩)を調製後、付加脱離反応にて、イミダゾール環2位に置換イミノ基を導入し合成するものである。この方法には、(1)これまで同化合物合成に必要であった水銀等の有害重金属を全く用いない。(2)同化合物合成の際に、しばしば問題となっていた位置異性体等の副生成物の生成を抑えることができる。等の利点がある。今同開発した反応を利用して、研究目的化合物である、海洋生物より数種の抗腫瘍活性アルカロイドと同時に極微量成分として単離されたnaamineBの全合成を世界で初めて達成した(研究発表の項参照)。 (2)芳香族第一級アミン類と1-メチルパラバン酸との位置選択的縮合反応を開発した。一方、1-methylimidazoleの各部位の水素原子の反応性(酸性度)の違いを利用し、順次メタル化することで、適当な置換基を有する2-アミノ-4,5-ジ置換-1-メチルイミダゾールへと導いた。このアミノイミダゾール誘導体を用い、先の1-メチルパラバン酸との位置選択的縮合反応を実施したところ、研究目的化合物である、海洋生物より抗腫瘍活性成分として単離されたpyronaamidineの全合成を世界で初めて達成した。現在、研究発表のため、学術雑誌に投稿中である。
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