固相反応は生成物の単離が簡便である反面、反応追跡が困難であるなどの欠点を持っている。本研究においては糖鎖固相合成において反応追跡法について検討した。また、それらの手法を用いて実際に固相樹脂上で糖鎖を合成し、その有用性を明らかにした。 TentaGelを固相樹脂として用い、本研究で開発したグリコシル化反応条件下で安定であるリンカーを介して糖ユニットを結合した。その後、クロロアセチル基をhydrazinedithiocarbonateを用いて脱保護した。脱保護反応は本研究で開発したクロロアセチル基を選択的、鋭敏に検出する(p-nitronbenztyl) pyridineを用いて追跡することが可能であり、5分で反応が完結していることが明らかになった。また、グリコシル化反応はクロロアセチル基を一時的な保護基として持つイミデートを糖供与体として用いることにより行った。反応の進行状況は水酸基をDisperse Red-シアヌル酸クロリド複合体を用いて呈色し、追跡することが可能であった。このようにクロロアセチル基の脱保護反応とグリコシル化反応をリアルタイムで呈色反応によって追跡することにより、糖鎖伸長が行えることが明らかになった。またこれらの手法は反応追跡だけではなく、反応条件最適化についても応用できることも見出した。 これらの手法を用いて免疫増強活性を持つschizophyllanの繰り返し構造の基本ユニットである4糖を迅速に固相上で合成した。
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