1.モデルラジカルを用いた基礎検討 テトラシアノキノジメタン(TCNQ)の電解還元体(アニオンラジカル、2価イオン)のキャピラリー電気泳動(CE)分離検出を検討し、完全非水系の利用、酸素暴露からの分析系保護をへて、これら2種の活性還元体の検出に成功した。一方で、既にCE分離検出に成功しているベンゾキノンアニオンラジカルよりさらに不安定なフェナンスレンキノンアニオンラジカル、ナフトキノンアニオンラジカルの分離検出を試みたが、生成系(電解セル)から分析系への移動の際の酸素による再還元を避けきれず、明確なピーク成分としての検出に失敗した。そこで、生成系と分析系のオンライン結合を目指した装置の組み立てを行った。これは電解セルと電気泳動用のリザーバーが共通になっており、電極表面に局所的に発生した電解活性種を近傍に存在するキャピラリーに即座に導入できる設計になっており、現在、TCNQ等のモデル試料を用いて、活性種の検出に成功している。 2.マイクロチップ装置の開発 マイクロチップシステムは、上記の生成系と分析系の直結という意味で、究極的なラジカル分離分析システムとなることが期待される。本年度は、システムの基本として、光ファイバー光学システムを用いた吸光検出部をもつ、チップ電気泳動システムの組み上げを行った。現在、これを用いた電気泳動分離と検出が可能になっている。また、チップ上に電解電極を配した、マイクロチップの設計及び試作を行った。
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