昨年度にキャピラリー電気クロマトグララィー(CEC)用分離カラムの調製条件を変化させることで、分離媒体の構造がマイクロ・ナノメートルサイズで調節できることを見出した。そこで本年度は、形成された分離媒体の構造が、溶質の分離に与える影響について検討を行った。その結果、マイクロメートルサイズの流路が分離効率に大きな影響を与えていることが示唆された。重合反応に用いるモノマーとポロジェンとの混合比率が、マイクロメートルサイズの流路の形成に大きな影響を与えていた。そして最適な調整条件で作製した分離カラムを用いてCEC法で、アルキルベンゼンや多環芳香族類を分離した結果、10分以内に分離され、その時の理論段数は10万段/m以上であり、また各化合物は逆相分配によって分離されていた。また高速液体クロマトグラフィー用充填剤と光重合ポリマーとを利用した新しいCEC用分離カラムの調整法を開発した。開発した手法を用いて調製した光学分割カラムは、アミノ酸を5分以内に光学分割した。 またマイクロチップを用いた分析法の基礎検討として、プラスチック製マイクロチップを用いて電気泳動法によるアミノ酸の分離を試みた。アクリル板(5cmX10cm)に刻まれた幅100μm、深さ50μmの溝を分離場に利用し、蛍光誘導体化試薬であるNBD-Fで誘導体化したアミノ酸を分離した。その結果、6種類のアミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、セリン、テアニン)は4分程度で良好に分離された。今後は、マイクロチップの溝に上記の検討で最適化された分離媒体を作製し、生理活性物質の分離に応用していく予定である。
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