本研究は、ガラクトース/N-アセチルガラクトサミン(Gal/GalNAc)特異的マクロファージC型レクチン(MGL)を発現する樹状細胞が、免疫応答を制御しうる新たな樹状細胞亜集団であるのかを明らかにすることを目的としている。 本年度は、MGL陽性樹状細胞におけるMGLの機能の解析と、マウス生体内におけるMGL陽性樹状細胞亜集団の検出を試みた。 1.MGL陽性樹状細胞におけるMGLの抗原の取り込みへの関与 MGL陽性樹状細胞として、すでにMGLの発現を明らかにしていた骨髄細胞より分化誘導した未成熟樹状細胞を用いた。抗原のモデルとして、ビオチン標識または蛍光標識された、糖鎖の付加したポリマーを用いた。フローサイトメトリーによる解析の結果、カルシウム依存的かつ、糖特異的にGalNAcポリマーが未成熟樹状細胞に結合し、細胞内に取り込まれることを明らかにした。さらに、コンフォーカル顕微鏡による解析の結果、取り込まれたGalNAcポリマーは、細胞内でMGL、MHC classII、LAMP-1と共局在したことから、MGLが抗原の取り込みを介して、抗原提示にも関わる可能性が示された。 2.マウス生体内におけるMGL陽性樹状細胞亜集団の検出 これまでに、真皮MGL陽性細胞は、接触皮膚炎モデルにおいてリンパ節に遊走し、抗原に対する感作成立に関与することがすでに明らかにされていた。そこで、真皮に常在するMGL陽性細胞と、溶媒塗布により皮膚の細胞が流入したと考えられるリンパ節のMGL陽性細胞のフェノタイプをフローサイトメトリー法により解析した。これまでに、真皮のMGL陽性細胞は、MHC classII、CD11b、DEC-205陽性で、CD11c陰性であり、リンパ節では、MHC classII、CD11b、DEC-205陽性で、CD11cは一部で陽性であるという予備的な結果を得ている。
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