研究概要 |
本研究は、ガラクトース/N-アセチルガラクトサミン(Gal/GalNAc)特異的マクロファージC型レクチン(MGL)を発現する樹状細胞が、免疫応答を制御しうる新たな樹状細胞亜集団であるのかを明らかにすることを目的としている。 これまでに、マウス骨髄細胞より分化誘導した未成熟樹状細胞にはMGLが発現し、この骨髄細胞由来未成熟樹状細胞には、GalNAcの付加した蛍光標識またはビオチン化標識ポリマーが、カルシウム依存的かつ、GalNAc特異的に結合し、細胞内に取り込まれることを明らかにしている。また、取り込まれた抗原が、細胞内でMGL、MHC classII、LAMP-1と共局在したことから、MGLが抗原の取り込みを介して、抗原提示に関わるのではないかと考えられた。 本年度は、MGL陽性樹状細胞におけるMGLの機能の解析として、MGLが抗原提示に関与するかどうか検討した。 MGLに対するモノクローナル抗体LOM-14(ラットIgG2b)が、マウス骨髄細胞由来未成熟樹状細胞に結合し、細胞内に取り込まれることをフローサイトメトリーにより明らかにした。あらかじめモノクローナル抗体LOM-14を結合させた後、一晩培養した骨髄細胞由来樹状細胞樹状細胞と、ラットIgGで免疫したマウスのリンパ節由来T細胞との共培養を行い、T細胞増殖試験を行った。モノクローナル抗体LOM-14を取り込ませていない樹状細胞と共培養した場合に比べ、モノクローナル抗体,LOM-14を取り込ませた樹状細胞と共培養したT細胞は高い増殖活性を示した。この結果より、未成熟樹状細胞上のMGLは、抗原を取り込み、抗原特異的T細胞への抗原提示に関わることが示された。
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