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2001 年度 実績報告書

アセトアセチルCoA合成酵素の脂肪組織における生理的意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 13771392
研究種目

奨励研究(A)

研究機関星薬科大学

研究代表者

山崎 正博  星薬科大学, 衛生化学, 助手 (80328921)

キーワードケトン体 / 脂肪組織 / アセト酢酸 / 細胞分化
研究概要

新規ケトン体代謝酵素、アセトアセチルCoA合成酵素の生体、特に脂肪組織内での生理的意義を明らかとするために、本年度の研究実施計画に基づき以下のような実験を行った。
まず、本酵素の各種脂肪組織における遺伝子発現を脳や肝臓の発現と比較しつつ検討した。その結果、いずれの脂肪組織でも脳や肝臓と同程度かそれ以上の発現を示した。また、雄の皮下部白色脂肪組織において雌に比べて特に強い発現が見られた。脂肪組織以外では、肝臓で雌の発現が強いことが確認できたが、皮下部脂肪組織で見られたほどの性別による差異はなかった。一方、コレステロ-ル合成の律速酵素であるHMG-CoA合成酵素は脳や肝臓では強く発現していたが、脂肪組織ではほとんど発現していなかった。以上のことから本酵素は脂肪組織で他組織とは異なる重要な役割を担い、その性的な差異に関わる可能性が示唆された。
次に、本酵素と組織発達との関わりを検討するために離乳後から性的成熟期にかけて本酵素の遺伝子発現量の変化を見たところ、離乳後に発現が上昇し、その後も高発現していた。また、雌では離乳後に大きな発現の変化は見られなかったが、雄では離乳後も発現が上昇しつづけ、成長に伴って雄と雌の性差が広がることが明らかとなった。一方、HMG-CoA合成酵素はいずれの成長段階でも微弱な発現しか確認できなかった。
更に、脂肪細胞の分化過程における本酵素の発現変動を前駆脂肪細胞の初代培養系を用いて検討した。その結果、本酵素は前駆脂肪細胞の時点から分化に伴って発現量が上昇し、分化誘導後六日目に発現のピークを迎えた。これは脂肪細胞が細胞内に油滴を蓄積しはじめる時期とよく一致しており、同時に脂質代謝系の立ち上がりに重要な転写因子、PPARγの発現パタ-ンと類似していた。また、脂肪酸合成の律速酵素であるACC-1も本酵素とほぼ同様のピークのパターンを示した。
以上の結果は、本酵素が脂肪組織において脂質合成系に深く関わることを示唆すると考えられた。今後は、培養細胞及び肥満モデル動物における本酵素の発現制御の検討を中心に実験を進める予定である。

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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