本研究の目的は、実習医学生に対するが外来患者の満足度とOSCE(客観的臨床能力評価法)のスコアとの相関を調査し、臨床能力向上を目指す教育手法としてのOSCEの妥当性を検討するとともに、患者満足度の向上に寄与しうるOSCEの形態を問うことである。 患者満足度調査には様々な調査票があるが、我々は医学生のHumanistic Qualityに焦点を当ててAmerican Board of Internal Medicineが作成したPatient Satisfaction Questionnaire(PSQ)を和訳したものを用いている。 OSCEは日本医学教育学会の臨床技能教育ワーキンググループの推奨する形式にのっとり、実技5、筆記1ステーションで構成されたものを総合外来実習と並行して実施している。 PSQの調査は1997年より継続して行ってきており、その結果を概観すると外来患者の医学生に対するPSQは年々向上が見られている。しかしOSCEのスコアにはそれが反映していない。教育的介入によって向上していると患者に評価された医学生のHumanistic Qualityをはじめとする臨床能力、現在のOSCEは客観化できていないと思われる。 本学はH13年度の共用試験システム(外部評価者相互乗り入れトライアル)に久留米大学とともに参加した。OSCEの共用試験への導入は現実的なものとなっており、形式・内容の改善は急務である。 以上をふまえて現在、H14年度の調査に向けてより臨床能力を評価できるOSCEの形態を検討中である。
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