リフィル処方とは、患者が医師の診察を受けて発行された薬剤の処方を、一度だけでなくその後も繰り返して調剤し投薬できる処方である。この制度はわが国にはないが、医薬分業の歴史が古い欧米では、一般的に慢性患者の投薬に利用されており、米国のコミュニティ薬局では調剤の約半数が再調剤で占められている。リフィル処方は、外来患者数の削減や慢性患者の通院負担の軽減等の観点からわが国においても導入を検討すべきであり、長期投薬の是非を議論するうえでも必要である。本研究は、初年度の課題として、すでにリフィルが制度化されている米国でリフィルに関してどのような規制があるのかを検討した。また、わが国における保険薬局の処方せん調剤の内容を把握するために、保険薬局における処方内容と業務の分析を行った。 米国の連邦および州ごとのリフィルに関する規制は、CFRおよびNABPLAW databaseを用いて検索し、その記載内容をまとめた。CFRにおけるリフィルの記載の大部分は規制医薬品に関わるものであり、再調剤が禁じられている医薬品、期間および調剤回数の制限、調剤の記録、薬局間転送、コンピュータシステムの要件などが定められていた。州法では、規制医薬品以外の医薬品の処方に関する再調剤について記載があり、州ごとに比較したところ、再調剤が可能な期間および回数、記録方法、薬局間転送方法などに関する規制が異なることがわかった。次年度は、保険者ごとの規制を調査するとともに、再調剤における薬剤師の役割、責任の所在等について検討する予定である。
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