本研究においてin vitroにおける免疫調節薬の薬理作用をT細胞を用いて評価解析し、薬剤作用点、および作用メカニズムを明らかにすることを目的に追求し、薬効予測の可能性について検討した。(1)Cosimulationに基ずく免疫調節薬の薬理作用の検討:ブシラミンは抗CD3抗体+抗CD26抗体刺激による培養下でT細胞増殖反応とIL2、IFNなどのTh1型サイトカインの産生を有意に阻害したが、Th2型サイトカインの産生は阻害しなかった。更にブシラミンはPHA活性化T細胞の郵送を抑制し、T細胞でCD44の発現を低下させた。(2)b1インテグリンを解する免疫抑制剤薬理作用の検討:FK506はH9細胞表面のCD29発現量を有意に低下させ、CD3、CD11a、CD25、CD26、CD44の発現量には影響を及ぼさなかった。更にフィブロネクチンによるCD29からの刺激によるpp105、pp59のチロシンリン酸化を抑制し、細胞内骨格アクチンの重合が阻害され、結果としてH9細胞の遊走能阻害が起こることが示された。(3)b1インテグリンを指標とした免疫調節薬薬効評価:正常人リンパ球分画においてT614添加により細胞表面のCD29発現量に多様な変化を示した。この際、T614に対するnon-responderおよびescape例ではCD29の発現量は不変、および発現亢進であった。これに対してresponderではCD29の発現量低下例を認めた。
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