平成13年1月から12月までの救命センター入院患者のうち、緑膿菌が検出されたものはのべ158例であった。そのうち血液培養から菌が検出されたものは3名であり、症例が少ないため、肺炎等の他の部位の感染症の患者も同時に検索することとした。以前の調査と比較し、緑膿菌による菌血症症例が大幅に減少しているが、その原因についても調査を行う。個々の症例については診療録を調査中である。特に、血管内カテーテル使用例について注目して調査を行っている。血管内カテーテルは救命センターの症例には多数用いられているが、一度に複数本使用されている例が、他の病棟より多いこと、マルチルーメンの中心静脈カテーテルを使用する割り合いが、他の病棟に比較し多い可能性があり調査中である。 分子生物学的検討は、あらかじめ異なることが判明している2種類の株を用い、AP-PCR法で異なる株が異なるバンドとして認識できるように予備実験を行い、PCRの条件などの検討を行っている。得られた菌株についての検討はPCRの条件が決定され安定した結果が得られるようになった後に行う。 平成14年度はさらに緑膿菌が検出される症例を蓄積し、症例数を増やして検討を行う予定である。蓄積したデータを平成13年度分とあわせて分析し、救命救急センターにおける緑膿菌菌血症症例の疫学的特徴を明らかにする予定である。
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