平成13年度は、(1)看護職者の色表現用語の実態を、いくつかの地域から多面的に調査し、色表現方法の普遍性を検証する。(2)色表現の経験を具体化することで、色表現能力の形成過程に影響を与える要素を抽出し、さらに臨床経験との関連を検討することで看護職者の色の認知に関するアセスメント能力の形成過程を分析することを目的として調査を実施した。 調査対象は、協力の得られた関東、東海、甲信越地方の6つの病院に勤務する看護職者、合計60名とした。対象の選定にあたっては、看護職者全体の実態を明らかにするため、勤務病棟、臨床経験年数等の指定をしていない。 調査は、対象者の施設の1室で、1名ずつに20分〜30分程度の半構成式の面接調査を実施した。自作の尿の色彩サンプルと患者の情報用紙を用いて実際に見せた色を自由に表現してもらい、さらにどのような判断によってその表現に至ったかというプロセスを語ってもらった。 現在、面接で語られた内容の逐語記録を作成し、質的研究法を用いて分析中である。関東地域25名のデータから、色を見て表現に至るまでの思考プロセスは、大きく「見たことのある色か」「その色を何の色として見るか」「情報を取り入れるか」「情報の示す色表現があるか」という4つの段階を通過して表現に至ることが明らかになっている。この4段階を通過するプロセスとして8つのパターンに分類できた。このうち、第2段階で何の色としてみるかが表現の判断に大きく影響するのではないかと考えられる。また、視覚でとらえたものの正常、異常の判断は、思考プロセスの各段階にみられていた。色表現が多様になる原因を明らかにし、今後はどのような表現が看護情報として重要なのかを検討していく。
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