研究概要 |
戦後,日本は世界で最も健康に長生きできる国と位置づけられている。しかし,高齢期の生活に対する不安内容は『自分や配偶者が虚弱・病気がちになること(49.4%)』が多く,高齢者の約半数が高齢期の体に不安を持って生活している。これに対し,訪問看護の看護内容は,「病状観察・情報収集」が98.8%と最も多く,「療養指導・相談(本人・家族)88.6%」,「生活のリズム・仕方の把握63.3%」と続き,訪問1回当たりの平均滞在時間は62.2分(6月第1週の例)となっている(厚生省平成11年訪問看護統計調査結果)。 本研究では入院日数が減じられ,在宅での治療・療養を余儀なくされている患者の治療援助を行うとともに,患者の「安心感を増大」させるため,さらに,「病状観察・情報収集」や「療養指導・相談(本人・家族)」に62.2分もの平均滞在時間を費やさず,「訪問看護者にも時間のゆとり」が持てるように,「病状観察・情報収集」を遠隔地から行える在宅看護支援システムの構築を目指した。 構築システムは家族や患者自身が収集した毎日の患者のバイタルデータをあらかじめ施設のナースステーションに伝送しておき,訪問看護婦は施設ででも,患者宅への移動中でも,そのデータを閲覧できるシステムとした。また,伝送されたバイタルデータをグラフ化して経時的な変化が一見できるシステムとした。さらに,患者や看護者が必要とすれば,遠隔可動操作式のカメラを通じて患者の観察が行えるシステムとした。 これらにより,入院日数が減じられ,在宅での治療・療養を余儀なくされている患者の治療援助を行うとともに,患者の「安心感を増大」させ,さらに,「病状観察・情報収集」や「療養指導・相談(本人・家族)」に62.2分もの平均滞在時間を費やさず,「訪問看護者にも時間のゆとり」が持てるように,「病状観察・情報収集」を遠隔地から行える在宅看護支援システムとなりうると考えられる。
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