1)車いす移乗介助方法に関する生体力学的特徴の検討 前年度の結果から明らかになった3タイプの介助方法において、その生体力学的特徴を、画像、筋電図、体圧分布から明らかにした。その結果、介助者側のボディメカニクス上望ましいのは中足法であったが、患者側にとってボディメカニクス上望ましいのは前支持足法であった。これらをふまえて3タイプの介助方法のマニュアルを作成した。 2)車いす配置に関する生体力学的特徴 患者にとって車いすをどのように配置すると効果的であるかを検討した。生体力学的特徴として、画像と筋電図、主観調査を用いた。比較したのは車いすを0度、30度、45度で配置した場合の患者の姿勢・動作である。その結果、30度角度での車いす配置がもっとも安定して、少ないエネルギーで移乗できる角度であることが分かった。 3)車いす移乗介助方法の実証研究 3タイプの介助方法がどのように有効であるかの実証を試みるために、臨床場面で実際の患者と介助者の協力を得て、マニュアルに従って実施を試みた。その結果、中足法は患者の持ち上げに効果的であるが、患者にとっては自分で立ち上がれない方法と言えた。外支持足法は、患者の膝折れを防止し、かつ介助者側の腰の負担を少なくする上で効果的な方法であった。前支持足法は、立ち上がりの意志があり、多少なりとも自力で力を加えようとする患者に有効な方法であった。つまりは、昨年度の研究結果と同様であり、患者の身体条件に応じて3タイプの介助方法を使い分けられることが大事であることが分かった。
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