国内・国外の文献検討を行ったところ、医療施設において看護業務に従事している看護師を対象に、病院・病棟を単位とした量的・質的アプローチによる先行研究は存在した。しかしながら、本研究では、病院組織とは異なる地方行政機関に所属し看護職の免許を持ち地方公務員でもある保健師を対象に考えていることから、医療施設に勤務している看護師とは労働条件・状況が異なると考えられた。 そこで実際に、研究参加の同意を得られた人口規模・基幹産業構造の異なる2つの自治体において、地域保健活動において一定の実績のある同一の指導者の指導を受けながら1999年より10日/年のペースで事業展開し事業開始後3年を経過しようとしている2001年12月〜2002年3月にかけて、所属する保健師らに面接を行った。面接にあたり筆者から各保健師に提示した項目は「事業をはじめる前と今で変わったと思うこと」「現在の自分の課題」「指導者らの指導を受けて思うこと、考えること」「このような事業を、町保健師、指導者だけでなく、大学のような他機関も協同で行うことについて思うこと、考えること。市町村からみたメリット・デメリット、大学に望むこと」であったが、各関係者それぞれに自由に関連していると考える内容を表出してもらうよう促した。いわゆる半構成的面接聞き取り調査であり、各面接場面は関係者の同意を得て概ね一人あたり1〜1.5時間ほどであった。面接内容については各保健師らより同意承諾を得てテープ録音し、逐語録を作成継続中であり、分析をはじめたところである。 面接を行った2自治体11名の各保健師らは、所属自治体と関係なく、指導者が入ってこの事業をはじめる前の自分の仕事のすすめ方と現在のやり方ではいい意味で変わったという内容の主観を述べていた。現在、その面接内容について順次逐語録を作成中であり、1つの自治体分については、5月の学会(裏面参照)にて報告予定である。
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