経年の縦断調査を通じて、教育内容(関係法規や看護倫理の講義学内演習、臨床実習など)や個人特性から、看護学生の法的責任認識がどのような影響を受け、形成されるのかを明らかにすることを研究目的とし、平成13年10・11月に第1回調査を実施した。研究計画では一看護大学の全学年を調査対象として予定していたが、質問紙内容の検討の結果、看護領域の講義が少ない1・2生では、医療過誤事例や専門職としての看護の位置付け・状況などの知識が十分でなく、質問文の理解がやや困難であると予想されたため、3・4年生のみを対象にとして、調査を行なった。3年生は配布数115名に対して、回収数84名(回収率73.0%)、4年生配布数107名に対して、回収数66名(回収率61.7%)であった。現在、質問紙の回答結果のコンピューター入力を終え、単純集計、法的責任認識と諸要因との関連の解析中である。特に第1回調査では、各看識領域の臨末実習に入る前の段階にある3年生と、全ての臨床実習を終えた後の段階にある4年生との学年間比較を中心に検討を進めていく予定である。次年度は、現3生には、臨床実習の中間点にあたる4月に第2回、全ての実習を終える11月に第3回の調査を行ない、看護学生としての経年変化を明らかにする。また元々の研究計画とは異なるが、現4年生には、卒業後約半年が経ち、臨床経験を積み始めた11月(第1回調査から1年後)に第2回調査を行ない、看護学生から新人看護職として働き出した中での経年変化を明らかにしていく予定である。
|