本年度は、看護学生を研究参加者とした調査を行うにあたり、まずは看護学生の学習に関する文献と実践知や身体知に関する著書を読みながら、調査方法の再吟味をした。これをもとに修正した計画書を看護学生が所属する大学にを提出して倫理的側面について確認をしてもらった。6月末に審査を終え、大学の許可を得た後に、学生から申し出てもらうかたちで研究参加者を募った。自主的に申し出た学生は2名であった。この学生へは研究の目的と協力内容を具体的に説明し、研究参加への承諾を得た。7月より9ヶ月間、月1回、1〜2時間のインタビュー、不定期の面接、およびメールでの情報交換を実施してきた。 学生の語りを解釈する視点は、文献検討しつつ吟味する中で、Schonが提唱した「反省的実践家」にみられるreflection-in-action、Polanyiによる「暗黙知」、Merleau-Pontyの前反省的な次元の経験などが手がかりになることが分かった。学生の語りは、これらを手がかりに解釈をはじめている。解釈を通して、学生個々人が、看護実習等で様々な出来事に触れる中でそれまで気づかずにいた自らの実践における態度やものの見方、感じ取り方をふり返りつつ意味づけ直していることが見えてきている。 またこれらの解釈を進めるにあたり、国内の専門家3名(哲学、教育学、杜会学の専門家)と交流を行ってきた国外の専門家との意見交換を予定していたが、ニューヨークのテロ事件のために延期し、現在は、関連論文の著者にメールを介して連絡をし、来年度にむけた準備を行っている。
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