認知障害を有する脳血管障害患者で疼痛を伴うと考えられる疾患を調査するため、疼痛の表現方法、アセスメント方法について医学中央雑誌から、過去1997年から2001年の5年間について文献検討を行った。 文献検討にあたり、疼痛(痛み)、アセスメント、表現をキーワードとした。26件が抽出され、周手術期における疼痛のアセスメントに関連するものが4件、癌性の疼痛に関連した文献は17件、小児の疼痛アセスメントに関連した文献が2件、高齢者のせん妄と疼痛に関連した文献が1件、脳血管障害患者に関連したものが1件で、その他が5件となった。脳血管障害患者に関連した研究では、右脳症状が著明な患者3事例をもとに行動変容について分析し、疼痛の緩和が精神安定を図り、周囲に目を向けるきっかけとなりセルフケアが向上したことが明らかにされている。しかし、疼痛をどのようにアセスメントしたかについては、明らかにされていなかった。小児の疼痛アセスメントの文献からは、睡眠と疼痛の表現について分析しており、痛みの表現は、年齢により様々で学童期には不安や甘えを痛みとして表現することが明らかにされていた。癌性の疼痛に関連した文献には疼痛のアセスメントツールを開発、または使用しているものが多いが、患者の主観的訴えを看護者が正確に把握しようとして作成されているもののため、疼痛の表現が正確に行われない可能性のある認知障害の患者においては使用が困難と思われるものであった。 以上から認知障害を有する脳血管障害患者の疼痛アセスメントについては、事例から明らかにしていく必要があると考えられた。
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