平成11年度、出生体重が2500g未満の割合は男児7.5%、女児9。3%と増加の傾向であり、ますますリスクのある子どもに対する育児支援の重要性は高まってきている。本研究の本年度の課題として、(1)日本におけるハイリスク児の育児支援についての資料収集(2)欧米におけるハイリスク児の早期支援システムと早期評価についての資料収集(3)日本と欧米のハイリスク児に対する育児支援の比較(4)効果的な早期介入を行うために、ハイリスク児とその母親を取りまく環境、父親の支援、社会支援等についての予備的調査を行うこととした。 日本において、ハイリスク児の発達支援トータルケアのシステム化に関する研究がなされ、ハイリスク児の発達支援マニュアルが作成されている。しかしながら、ハイリスク児を持つ母親の育児上の問題に関して、満足のいくサポートは十分であるとはいえない。欧米の代表として、アメリカ、ロサンジェルスにおけるハイリスク児に対する早期介入プログラムを見学し、医療・保健福祉の連携システムとその評価について学んだ。日本で行われている早期介入と比較すると、NICU(Neonatal intensive care unit)入院中の育児支援については特に違いはみられなかった。しかし、NICU退院後の家庭への訪問指導と発達センターへの通院指導を組み合わせたきめ細かな支援は、そのまま日本で実践することまだ難しいが、今後の課題とすべきであると考えられた。 ハイリスク児、特にNICU退院児に対して効果的な育児支援を行うために、子どもとその母親のを取り巻く環境を知ることが必要である。そのため、NICU退院児で正常に発達していると考えられる児と母親を対象に育児環境と児の発達調査を行った。これは、本調査を行うための前段階の調査である。現在、前調査はデータ収集が終了し、解析中である。
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