低出生体重に代表されるハイリスク児をもつ親は、出産直後から、NICUの中で親子関係を形成していかなければならない。この時期に家族の新しい発達課題の転換が求められるが、この転換がうまくいかないことより、家族は危機に陥りやすいといわれている。低出生体重児の出産という危機を乗り超えるためには、家族の成長のプロセス支援する家族看護の視点を取り入れることが必要である。そこで、本研究は半年以内にNICUを退院した児を持つ家族(母親)を通して、家族が子ども受容し対処していく過程、その過程ごとに医療者(看護者)・地域社会に望むニーズを明らかにし、家族周期の移行の危機に対する支援策を検討することを目的とした。NICUを半年以内に退院し、明らかな合併症のない子どもを持つ母親10人に対して、半構成面接を実施し、マッカバンの2重ABCXモデルを参考に内容分析を行った。その結果、低出生体重児の家族は、出産にいたる前段階において、「妊娠経過中の異常やそれに伴う生活の変化」というストレス源があり、このストレスに対しての肯定的な認知、社会資源が働くことにより、低出生体重児の出産という危機に対するストレス源の累積は減少することができた。また、危機をさらに累積させるものとして、「子どもの経過の異常」、「低出生体重児の世話への不安」などがある。これらのストレスに対処していくためには、家族が家族機能のバランスをとることが必要である。そのために、資源を効果的に活用し、危機やストレス源に対して肯定的な認知をすることにより適応に向かうことが出来た。つまり、認知領域に働きかけることが、適応へ向かうための看護として重要である。本研究の対象は10例であり、今後事例を積み重ね、検証していくことにより、低出生体重児をもつ家族に対する効果的な看護介入の具体的なモデルの作成への手ががりが得られる。
|