研究概要 |
無防備な性行動に陥りやすい状況をコントロールするために必要とされる能力の中で,コミュニケーションスキルの育成に焦点を当てた健康教育プログラムの効果を介入評価している研究について,MEDLINEを中心とした各種データベースによる文献レビューを行った。また,第48回日本学校保健学会およびライフスキル関連の研修会に参加し,コミュニケーションスキルの学習活動について,情報収集を行った。それらのデータに基づいて,高等学校教員,保健婦,健康教育研究者等の助言を受けながら,以下のようなプログラム原案を作成した。プログラムの目的は,性交経験を遅らせ,無防備な性行動を避けることができるために必要な思考力・判断力を育てることである。特長として,(1)青少年の性行動の選択に影響を与える心理社会的要因に焦点を当てたこと,(2)行動変容理論に基づいた学習活動を用いたこと,(3)2単位時間(50分×2回)程度とし,従来から行ってきた性教育カリキュラムに容易に追加することができることの3点があげられる。全体的な構成は,(1)導入「相談の手紙」を読む。(2)展開1「愛情表現の方法」について,ブレインストーミングを用いて考える。(3)展開2ケーススタディ「ある高校生の物語」について考える。(4)まとめ「相談の手紙」に対する返事を書く。の4つのセクションからなっている。また,これらのプログラムの影響を評価するための調査票(事前用,事後用)もあわせて作成した。
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