【目的】本研究は、国立三重病院に来院した肥満小児を対象に腹部CT撮影を実施し、発育に伴う腹部脂肪分布の変化や性差や肥満度による違いを明らかにすること、ならびに、その変化と血中の生活習慣病危険因子との関連を明らかにし、生活習慣病の早期予防を行う上での基礎的データを収集することを目的とする。 【方法】体脂肪分布は臍高部CT画像より皮下・内臓脂肪面積を定量した。現在、307名の解析が済んでいる。血液生化学検査に関しては総コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド、LDLコレステロール(Friedwald法)、インスリン、GOT、GPT、尿酸値を定量中である。 【結果】皮下脂肪面積は男児(n=189)208.5±5.1cm^2、女児(n=118)202.7±7.5cm^2と有意差は認められなかったが、内臓脂肪面積は44.2±1.7cm^2 vs 38.3±8.7cm^2と男児が女児よりも有意に高値を示した。男女とも肥満の程度が進むにつれ、皮下脂肪面積、内臓脂肪面積ともに増大し、性差は認められなかった。男女とも皮下脂肪面積は年齢に応じて増大していたが、内臓脂肪では女児はほぼ一定の増加を示したにもかかわらず、男児では10歳を境に急増した。 【結論】平均年齢10歳という小児においても成人肥満者に認められるように、内臓脂肪蓄積量は男児の方が高かった。男児において10歳前後を境とし、内臓脂肪が急増し始めることから、この年齢に達する前までに肥満を解消する事の必要性が示唆された。次年度はこれら脂肪分布と血中の生活習慣病危険因子との関連を検討していく。
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