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2001 年度 実績報告書

農村空間の商品化に関する社会地理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 13780055
研究種目

奨励研究(A)

研究機関名古屋大学

研究代表者

高橋 誠  名古屋大学, 環境学研究科, 助教授 (30222087)

キーワード地理学 / 農村 / 田園地域 / ポスト生産主義 / 言説 / ルーラル・ツーリズム / 空間の商品化 / 富良野地域
研究概要

本研究では,主に2つのテーマに取り組んだ。第1は,日本の農村地域の社会変動について,農村空間の商品化のプロセスに注目して読み解く理論的枠組みを探求することである。ここで農村空間の商品化は農村性の表象と農村空間の構築とを相互に結ぶ鍵である。都市近郊農村の地域的文脈で議論されてきた混住化社会論を再検討し,それらの統合的かつ理論的に検討した結果として,国レベルでの農村・農業政策や自治体レベルでの地域計画において,物理的基盤整備を農村空間の持つ環境的・景観的資源と結び付ける傾向が顕著になり,農村性の表象をめぐるメディアの言説は都市-農村二分論を再生産するとともに,農村社会を牧歌化する傾向にあり,さらにそうした脱生産主義的傾向は,一般の人々が抽象的レベルで考える農村像と相互に関係する。その傾向は,とりわけルーラル・ツーリズムと結び付いた景観保全において顕著であり,そこでは例えば,多くの人々の農村憧憬を惹き付ける,広域レベルで構築され,共有された「日本の原風景」を表象する茅葺き屋根民家群が補助金型行政と,それによる近代的インフラによって支えられるといった,いわば「ハイパーリアル」的な景観を生み出している。本研究の第2のテーマは,そうした状況について,具体的な地域的文脈における農村性の構築に照らして解釈することである。北海道富良野地域におけるアンケート調査などから指摘できることとして,食料供給基地と位置付けられ,集散地=市街地と生産地=農村地域といった地域構造を持った当地域が,『北の国から』のTV放映をきっかけとして,観光開発と結び付いて特別に魅力的な田園として表象されるようになった。そうした状況は,当地域が,場所特殊な文脈において「田園」や「(大都市圏の)郊外」として,住民のなかで表象されたり,地域計画などで構築されたりする動きと不可分の関係にある。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Takahashi, Makoto: "Changing Ruralities and the Post-productivist Countryside of Japan : Policy Changes of the Central Government in the 1990s"Kim, K., Bowler, I. and Bryant, C. eds. : Developing Sustainable Rural Systems. PNU Press. 163-174 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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