研究概要 |
中国と韓国における農業生産と青果物卸売市場に関する資料の収集をおこなった。中国に関しては「中国統計年鑑」や「中国農業年鑑」「中国市場統計年鑑」など統計類に加えて,北京市の大鐘寺卸売市場の青果物流に関する1次資料を入手した。韓国についても「農協年鑑」や「主要農産物流通実態」「貿易統計年鑑」などの統計類に加え,釜山市のオムグン卸売市場とバンニョ卸売市場の青果物流通に関する1次資料を得た。いずれにおいても,現在の両国の地域別の主要青果物の生産の現状と各市場に入荷する主要青果物の実体を把握することができた。その際,本研究が特に重点を置いたのは青果物流動の地理的パターンであり,当該市場にいつどの産地から不荷してりるのかといった情報が不可欠となる。これらは既往の研究では取り上げられることが少なかったが,一連の資料収集活動によって有効な資料を入手し得た。その後,入手した資料の翻訳とデータ入力の作業を開始し,順次地図化を含めた分析を進めている。 これとあわせて,日中及び日韓間の青果物貿易に関する資料の収集もおこなった。日本関税協会より貿易統計データを入手するとともに門司税関や広島税関,さらに下関港などでの調査と資料収集により,90年代以降青果物の輸入が急増する期間の中韓両国との青果物貿易に関する1次資料を得た。また,中韓間の青果物貿易に関する若干のデータも入手した。これらにより,品目別,国別,輸入港湾別,年次別,月別などの項目による分析に着手した。 以上により、中国国内,韓国国内の青果物流動の地域的なパターンを明らかにするという第1段階の目的はほぼ達成されつつある。それを踏まえた上で,日中・日韓という国家間をめぐる青果物流動のパターンを描き出すとともに,それらのパターンの形成メカニズムに焦点をあて検討を進めていく。
|