総合設計制度を活用した多くの公開空地が整備されるなか、横浜市では「市街地環境設計制度」において自然緑地を公開空地として位置づけ、昭和48年度から平成11年度までに34の自然緑地が保全されている。本研究は、横浜市の「市街地環境設計制度」に基づき保全された自然緑地を調査対象とし、保全された自然緑地の実態調査と所有者の制度活用の意図等に関する意識調査を行い、身近な生活環境に分布する小規模自然緑地の保全に向けた総合設計制度適用の効果と可能性について考究することを目的とする。 本年度は、横浜市における市街地環境設計制度適用事例(自然緑地を含む全事例)の基礎データの収集及びデータベース化を中心に研究を遂行した。基礎データの収集は、横浜市役所内の横浜市市民情報センターにおいて行い、制度が制定した1974年2月から1999年3月までの計393件の事例データを収集した。調査項目は、許可年月日、名称、住所、建物用途、用途地域、敷地面積、建築面積、述べ面積、建ぺい率、基準建ぺい率、容積率、基準容積率、高さ、基準高さ、法令制限、行政指導の有無、有効公開空地面積(歩道、通り抜け、自然緑地、水辺、内部、非青空広場など)、公開空地面積などについて調査し、データベース化を行った。次ぎに、自然緑地として保全を行った制度活用事例の特性を明らかにするため、自然緑地として保全した事例と一般の公開空地として整備を行った事例との敷地条件、設計条件、容積割増し率などに関する相違点を比較分析した。
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