研究概要 |
1.乳児保育支援システム「育ちの記録」を導入している調査協力保育園(全国約100ヵ所)において、0〜2歳児クラスの在籍乳児一人一人についてチェックリストをもとに、その時期に最も顕著に観察された「発達(育ち)」および「活動(遊び)」の項目を2ヶ月ごとに担当保育者に記録してもらった。過去2年間分の記録データをコンピュータに入力し、オリジナルに作成した集計ソフト・プログラムを用いてデータ集計を実施した。 2.乳児保育の各月齢時点で、保育者がどのような行動を「その子どもの発達の状況(特徴)」として捉え、同時に「保護者に伝えたい子どもの成長」として選んでいたかを調べるため、各月齢の子ども全体のなかで、それぞれの発達チェック項目が選択されていた割合を求めた。今回の調査結果を「乳幼児精神発達診断法(津守ら,1997)」の通過率と比較検討したところ、本調査における各項目の選択率が高かった月齢の範囲は、津守らの調査で90〜100%近い子どもが通過していた月齢を中心にして、その前後に分布しているケースが多かった。また、社会性の発達では、他児との関係を形成・発展する時期が、津守ら(1997)の結果よりもやや早い時期からみられるようであった。 3.今後は、一部の協力園(約50ヵ所)に依頼してより詳細な発達チェックのデータを提供してもらい、各項目の月齢別通過率を求め、乳児保育における子どもの発達過程を捉えたいと考えている(現在進行中)。遊び活動に関しても、各月齢時における遊びの展開や、発達との関連性についてデータをもとに探索的に検討したい。また現在、本年度の調査で得られた集計結果をもとに0〜2歳児保育を9つの期に分け、保育所保育指針の内容と照らし合わせながら、各期の子どもの発達を捉えた保育計画、保育環境づくりを目指す保育支援ツール(仮称)を他機関と共同で作成しており、来年度には研究会(セミナー)を開催していく予定である。
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